マンサンダルのワークショップに参加して、靴を履く事が主流の生活の中で私たちのからだに生じる弊害を学んだのですが、同時に昔の日本人は、からだの内と外の自然に即した素晴らしい生活をしていたのだなと改めて感じる機会になりました。
足元の事で言うと、履き物が当たり前に履かれる様になったのは、ほんのここ100年程の事でそれまでは殆どの生活を裸足で過ごし、長距離を歩いたり何かの作業をする時にだけ草履、足袋、脚絆などを使っていたそうです。
今は蛇口から暖かいお湯がいつでも出て、ストーブで部屋を暖め、ダウンジャケットがあり、真夏にエアコンをきかせたり、夜は電気をつけていればいつまででも明るかったり、生活を良くしようと近年発明されたもので溢れています。
そうしたものがまだ無かった時代にも、人は生活を少しでも楽に出来る様に工夫をして色んなものが生まれましたが、科学的な証明をする手段は無かったのに、今見ても理にかなった道具や自然療法が沢山あるのは、現代人よりもずっとからだの感覚が優れていて、祖先からの智恵も生かしていたからだと思います。
生活の為の工夫は道具だけではなく、日本人の“からだの使い方”そのものも発明と言える程素晴らしく理にかなったものであるのも、注目したい点です。
サロンメニューにある“癒しの全身オイルトリートメント/心で触れるボディワーク”は、アメリカ発祥のエサレンマッサージ®がルーツですが、それを日本に広めた第一人者の鎌田麻莉さんが、術者のからだの使い方として、日本古来の“同手同足”や“摺り足”をメソッドに取り入れています。
この“和のからだの使い方”を学んでから、私は格段に施術が楽になりました。その他着物を着た時に自然となるからだの使い方は、体幹がしっかりと保たれ、無駄な動きが無く、生体エネルギーの循環も健全です。また、着物や足袋、草履、紐など工夫され作り上げられてきた物をからだの生理機能が生かし順応して、昔の人は寒さや暑さといった外側の環境と上手に付き合ってきました。
昔に発明、作られた物、道具は、人のからだの感覚を基に作り上げられたので、からだは物、道具を上手く生かし、物、道具も又、からだの機能をより発達強化させるものであった様に思います。今ある便利な物に私たちは大きな恩恵を受けてはいますが、単純に便利さや時短、コストパフォーマンスを追及して作られた物は、結果的に私たちはそれらを生かすだけではなく、反対に予測しなかった悪影響をからだに受けてしまう事に繋がっています。
からだの感覚や自然の摂理を置き去りにして作られた便利さは、本当のところ、私たちを純粋に助けてはくれない、同時に気付かないうちに代償を払っていると感じます。そしてその代償を払っている事にもからだが気付いていない、というのが大きな問題なのだと思っています。
感じるからだを取り戻す事が大切だとしみじみ思いながら、からだには眠っている沢山の可能性があるという事にも期待を膨らませ、昔の日本人のからだの使い方、生活、道具が大きなヒントになると確信する今日この頃。
サロンにお越し下さる方々にもいっぱいからだを感じる体験をして頂きたい。原始のからだの感覚や可能性を引き出す事が出来ればと思っています。